分かれ道。

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 夏休みが終了し、今日から新学期。  優衣も俺も普段はチャリ通学だけど、まだ松葉杖を使っているらしい優衣は多分バスで通うのだろう。  早起きがこの世で1番嫌いなのに、優衣と同じバスに乗るべく目覚ましをかけまくった。  1秒でも長く寝ていたい気持ちを振い立たせ、気合を入れて何とか早起きに成功し、洗面所で顔を洗っていた時、  「律、晃くんと一緒に学校行く約束してるんじゃないの? 新聞取りに行ったら、晃くんエントランスにいたけど」  オカンが『待たせてるなら急ぎなさい』と俺を急かした。  …なんで晃がマンションのエントランスにいるんだろう。  どうせ学校で会える晃と、一緒に学校へ行く約束なんかしていない。  とりあえず濡れた顔をタオルで拭き取り、急いで制服に着替えて玄関を出た。    エレベーターを降り、エントランスに行くと、壁にもたれかかる晃を発見。  「晃、どうしたんだよ。なんで晃がここにいるの?」  晃に駆け寄ると、  「優衣と一緒に学校行く約束しててさ。優衣の怪我まだ完治してないし、心配だから。…学校行ったら話そうと思ってたんだけどさ、俺、優衣とつき合う事になったから」  晃が照れくさそうに笑った。  「…え。」  …優衣と晃が、付き合う?
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