平行線。

4/12
前へ
/164ページ
次へ
 優衣と晃が並んで歩く後姿を眺めて、エレベーターに乗り、家に戻る。  久々にゆっくり朝食を取って、いつも通りチャリで学校へ。  「…俺、何の為に早起きしたんだろ」  『はぁ』溜息を吐きながら自転車を漕いでいると、優衣が事故に遭った道にさしかかった。  優衣は誰も悪くないと言っているらしいけど、あの時吹いた風が、風煽られて倒れた自転車が、優衣を撥ねた車が、優衣を見捨てた自分が、憎い。  奥歯を噛み締めながら、全速力でその場を駆け抜けた。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

429人が本棚に入れています
本棚に追加