平行線。

5/12
前へ
/164ページ
次へ
 学校に着き、教室に入ると優衣は怪我の心配をされながら友達に囲まれていた。  優衣の隣には晃がいる。  何となく俺は、その輪には近寄れない。  なんで俺は優衣と晃と一緒のクラスなんだろう。  こんな風になるなら、別のクラスで良かったのに。  優衣を横目に見ながら自分の席に座る。  チャイムが鳴ると、優衣は晃に支えられながら自分の席についた。  『ひとりで移動出来るのに』なんて言いながら、頬を赤くする優衣にイライラする。  優衣が心配で、優衣に申し訳なくて、自分の恋愛は上手く行っていないのに、優衣はそんな俺などお構いなしに謳歌している様に見えたから。  優衣に嫌われたくなくて優奈さんと距離を置いていたけれど、優衣ともう前の様に戻れないのなら、俺も普通に恋愛をしても良いのかもしれない。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

429人が本棚に入れています
本棚に追加