平行線。

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 「待たなくていい。私は、律と前みたいな関係に戻ろうとは思わない」  優衣が、俺の手をゆっくり解いた。  「…え」  「だって、考えてもみなよ。もしお姉ちゃんが『今日は男の幼なじみと2人でゲームするんだー』とか言って遊びに行ったら、律は嫌じゃないの? 私は嫌。晃くんが女のコの幼なじみと2人で遊んだりされるの。  男と女の幼なじみなんてこんなモンだよ。どちらかに恋人が出来たら、それまでなんだよ。これだけはタイミング良かったよね。ウチラ、どっちにも恋人いるもんね」  優衣の言っている事は尤もだった。  だけど、優衣はそれでいいの?   「だから、幼なじみは終了です。今日から、幼馴染みません!!」  言い切る優衣に、淋しさはないのだろうか。  優衣の気持ちを踏み躙った俺に対して、そんな感情がなくなるのは当然か。  淋しい思いをしているのは、俺だけ。  「と言う事で、私帰るね。マンガとか、ゲームとかありがとうね。入院中、退屈しなくて済んだよ。律、お姉ちゃんの事頼んだよ!!」  そう言って俺に笑顔で手を振った優衣は、丁度良くやってきたエレベーターに乗り込み去って行った。  優衣から受け取った紙袋の中に目をやると、〔お礼〕とマジックで書かれた、俺の好きなスナック菓子と炭酸飲料がマンガなどと一緒に入っていた。  涙が出た。  人は、友情の終わりでも涙が出るらしい。
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