袋小路。

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 電気屋に行き、ゲームを受け取り、帰りにコンビ二に寄る。  『もしも優衣が来たら』という、願いでしかない万が一の為に、優衣の好きなお菓子を買う。  小腹が空いていたので、レジ付近のケースに入っていたアメリカンドックも一緒に購入し、それを食らいながらマンションに帰った。  基本早食いの俺は、家に着く頃にはアメリカンドッグは棒だけの状態になっていた。  その棒を無意味に歯で上下に振り回しながら、エントランスでエレベーターを待っていると、  「律、お疲れ」  後ろから肩を叩かれ、振り向くと晃がいた。  「…おう」  晃は高校で1番仲の良い、いわば親友。  なのに、晃に対するこの複雑な感情はなんなのだろう。  親友なのに、嫌な事など1つもされていないというのに、晃に会うのが何か少し嫌だなと感じた。  だからって、『帰れ』と言うのもおかしな話だ。  だって、ケンカしてるわけでも何でもないし。  いつも通り俺の部屋で遊ぶべく、2人でエレベーターに乗り込み、自分の家がある階のボタンを押すと、横からすっと晃の手が伸びてきた。  そして、晃の人差し指が優衣の家がある階のボタンに触れた。  「優衣のお母さんがさ、『優衣の送り迎えしてくれるお礼に、夕飯食べに来て』ってさ。優衣んち、今日すき焼きなんだってさ。つか、一緒に登下校なんか、彼氏なんだから普通なのに」  晃が眉を八の字にして、それでも嬉しそうに笑った。  晃は、俺の家に遊びに来たわけではなかった。
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