袋小路。

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 夕食をかっ喰らい終わると、また自室に戻る。  何かを考えてしまうと、イライラが増してしまいそうで。  何も考えたくなくて、ベッドに転がり込んではヘッドホンを装着し、大音量でロックを聞く。  目を閉じて洋楽をデタラメな英語で口ずさんでいた時、急に耳からヘッドホンが外れた。  「何、その変な英語」  目を開けると、優奈さんがヘッドホンを持って笑いながら俺を見ていた。  「…来てたんだ」  音量を大きくしすぎて、優奈さんが入ってきた事に全く気付かなかった。  起き上がりベッドの上に座ると、  「結構前からいたんだけど、全然気付く気配がなかったから、勝手にヘッドホン外してやりました」  『フフフ』と笑いながら、優奈さんが俺の隣に座った。
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