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「…救急車の音に、何の反応もしなかった私って、冷たい人間かな」
「……」
優奈さんの問いに、返答が出来ずに黙ってしまった。
そんなつもりは微塵もなかったけれど、そう捉えられても仕方のない言い方だったかもしれない。
誤解を生まない言葉を捜していると、
「…何でいつもいつも私が悪者なの? 優衣には悪い事したと思ってるよ。だけど、知らなかったんだもん。なのに…。私、みんなに責められなきゃいけない程悪い事したかなぁ!?」
優奈さんが俺の両袖を掴み、腕を揺らした。
「優奈さんは何も悪くないよ!! 誰も優奈さんを悪者だなんて思ってない!!」
落ち着かせようと優奈さんの肩を擦るも、
「嘘吐き。律くんだって今、私の事を『冷酷な薄情者』だと思ったくせに!! 律くんは、律くんだけは、私の味方でいて欲しかったのに!!」
優奈さんは、俺の手を払い退けて部屋を飛び出して行ってしまった。
「~~~あぁ!! もう!!」
頭を掻き毟って、ベッドに倒れこみ、枕に顔を沈める。
なんでこんなに何もかも上手く行かないのだろう。
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