袋小路。

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 〔俺、探しに行ってくる。今日、優奈さんとケンカしちゃったんだ〕  優衣にLINEメッセージを打って、適当な服に着替えて部屋を出ようとした時、優衣から返事がきた。  〔私も探す。見つかったら連絡して〕  …何言ってんの、優衣。  優衣、バリバリ松葉杖じゃん!! しかも、女のコが外に出て人探しするような時間じゃないだろ!!  「優衣は家で待ってて!! ちゃんと見つけ出して連絡するから!!」  メッセージを打つのが面倒で、直電した。    『2人で手分けして探したほうが早いでしょ。あぁー。松葉杖邪魔だわ。お母さんとお父さんに見つかりそう』  俺の意見など耳にも入れず、お出かけする気満々の優衣。  いっそ、お母さんやお父さんに見つかって、優衣の外出を阻止して頂きたい。  「女のコが外に出る時間じゃないだろ。それに優衣、まだ怪我治ってないだろうが。お願いだからおとなしく待っててよ。またもし優衣に何かあったら俺…」  『私は、お姉ちゃんにもしもの事があったら嫌だ。家の中の空気を悪くして、律とケンカした後に家にも帰れなくさせたの、私だから。私の責任。だから、本当は私ひとりで探すのが筋なんだと思うけど、お姉ちゃんの彼氏って事で律も手伝って下さい。私、あんまり早く動けないから』  電話の向こうで、優衣が苦しそうな声を出した。  怪我をして辛かったのも、俺に救助の手を弾かれて悲しい思いをしたのも優衣なのに、優衣は尚も自分を責めて苦しんでいた。  違うのに。違うのに。  でも、この2ヶ月間、考えても考えても解決案なんか出ても来なかった問題を、今は考える時間じゃない。
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