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「じゃあ、一緒に探そう。やっぱり女のコの夜道ひとり歩きは危ないから。優衣、荷台だったらチャリ乗れる? 俺が漕ぐから後ろに乗って」
優衣が『行きたい』と言うのなら、優衣を連れてでも優奈さんを探しに行かなければ。
それに、優衣が後ろに乗ってくれれば、『手分け』とはいかなくとも、俺が前方を優衣が左右を探す事が出来るわけで、効率も良い。
『…ひとりで探す』
俺の提案を、優衣は受け入れてくれなかった。
「じゃあ、優衣のお母さんとお父さんに言って、優衣を出かけさせない様にするよ」
だから、俺も優衣の意見を突っぱねる。
『彼氏がいるのに男と2人で夜にチャリ2ケツは、私的にアウト。律も、彼女がいるのに簡単に他の女と2ケツするのは良くないよ』
優衣は、自分がされたら嫌な事はやらない。
晃にされたら嫌な事は、しない。
「いなくなったの、優奈さんなんだから、その妹と探すのは自然な事だろうよ。晃の事は…今、晃に電話する。晃の許可があればいいんだろ?」
『やめてよ!! 晃くんに関係ない問題に晃くんを巻き込まないでよ。晃くん、優しいから自分も一緒に探すって言い出すもん、絶対。…てゆーか、分かってよ、律。私が今、律とお姉ちゃんと距離を置いているのは、そうしないとあの事故を思い出しては2人を憎んでしまうからなんだよ。これ以上、何も悪くない2人の事を嫌いになりたくないんだよ』
優衣が、少し声を荒げた。
『分かってよ、律』
分かるよ。でも、分かりたくないよ。
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