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頬をパシパシ叩いてみたり、髪の毛を引っ張って頭皮に刺激を与えて何とか起きていようとするも、大きく頭が前後に揺れ出し、豪快に船を漕ぎ出す優衣。
…チャリはここに放置して、おぶって帰るか。などと考えていた時、
「…律くんと、優衣?」
聞き覚えのある声が、俺らを呼んだ。
声の方に目をやると、俺らが探しに探していた優奈さんがいた。
「お姉ちゃん!!」
さっきまで半目だった目を全開にして優奈さんを見る優衣。
「優奈さん、どこ行ってたの!? 探したんだよ!?」
優衣に肩を貸しながら、優奈さんに近づく。
「…え。この近くの、友達がバイトしてるバルでちょっと飲んでたんだけど…探したの?」
優奈さんの言葉に愕然とする、優衣と俺。
高校生になりたての俺らに『バル』なんて、毛頭思いつくわけがなかった。
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