426人が本棚に入れています
本棚に追加
「良かったな、優衣」
優衣の頭を撫でて、そのまま背中におんぶした。
「優奈さん、ゴメン。俺のチャリ、優奈さんが乗って帰ってくれないかな。俺、優衣おんぶして歩かなきゃだから」
優衣をおぶりながら、優奈さんの為にチャリのサドルを下げようとすると、
「いいよ、下げなくて。自転車引っ張りながら一緒に歩いて帰るから」
優奈さんは笑顔で首を横に振って、自転車のハンドルを握ると、それには乗らずに引っ張りながら歩き出した。
「ありがとう。優奈さん」
隣に初恋の人がいて、背中には幼なじみがいる。
3人で歩く夜道は、幸せで、どこか切なかった。
どうしてこんなに近くにいるのに、心はすれ違ってしまうのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!