行き止まり。

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 …違うよ、晃。  優衣は、『眠れなかった』のは確かなのだが、寝る時間がなかっただけで、晃の心配には及ばないのだよ。  優しいな、晃は。優衣の選んだ男に間違いはなかったと思う。  優衣は、晃に心配をかけたくなくて昨日の事を黙っているのだろう。  別に疚しい事は何もない。  だけど、優衣が話したくないのなら、オレも喋らない。  優衣と、秘密を合有したい思ったから。  たいした秘密じゃない。   でも、晃の知らない2人だけの秘密を。  晃に小さな優越感。しょうもない、さもしい自分。  幼なじみと親友の交際を、どうして心から祝福できないのだろう。
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