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「幼稚園児じゃないんだっつーの」
独り言を呟いては、『ふッ』と小さく笑う優衣。
「優衣、本当にひとりで大丈夫?」
晃が居なくなった隙に、優衣に近づく。
万が一、ひとりで大丈夫じゃなかったとしても、優衣が俺に寄りかかる事はない。
分かっている。でも、俺だって優衣が心配だし、心配をしている事を理由に優衣に話掛けたかった。
「全然大丈夫。律も急ぎなよ。練習に遅れるでしょうが」
やっぱり俺にもたれ掛かったりしようとしない優衣は、俺の事も『早くグラウンドに行け』と急かす。
「残念だったな、優衣。優衣も球技大会出たかっただろ。バレーやりたかったんじゃないの?」
だけど、教室を出ることなく、話を続ける。だって今の俺は、何か用事がなければ、理由がなければ、優衣と話が出来ない。
強引に作った理由だけど、優衣と会話をするチャンスが出来たなら、少しでもその時間を引き延ばしたい。
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