行き止まり。

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 「はぁ!? 1点じゃん。ハットトリックとか決めたんだったら盛大に褒めるけど、1点決めただけでわざわざ観客席に来て『褒めろ』って、死ぬほど甘やかされて育った金持ちの一人っ子でも言わないわ」  呆れる優衣と、失笑する女子たち。    褒められるどころか、恥をかかされる始末。  でも、再確認。バカにされても、呆れられても、やっぱり優衣との会話は楽しい。  「…じゃあ、優衣。俺、ハットトリック決めるから、あと2点取れたら、褒めてくれなくていいから幼なじみ復活するって約束してよ」  優衣と普通に喋れないのは、どうしても嫌なんだ。    「…何、その交換条件。わけ分かんない事言ってないで、さっさと戻ってよ、まじで!!」  なかなか戻らない俺に、『負けたらどうすんのよ!!』とさすがにイライラしだす優衣。  「優衣が交換条件飲むまで戻んない」  それでも駄々っ子の様に、頑固にその場に居座る。  だって、分かっているから。  今日絶好調の俺をコートに戻さないと、この試合は恐らく負ける。  優衣も周りの女子も多分そう思っている。  周囲の視線を感じ取った優衣は、俺のこの卑怯なやり口を受け入れないわけにはいかない。
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