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「優衣もさ、『お姉ちゃん、ずっと元気ないんだ。晃くん、律から何か聞いてない?』って。いつもいつも律の話が出てくるし」
若干の苛立ちを見せる晃。
「それは、俺ってゆーか、優奈さんの心配してるだけだろ。優衣は」
晃の思い違いを正そうとするが、
「そうかな。球技大会だって、大声で律の応援してたじゃん、優衣。写真まで撮って」
晃には納得がいかなかった事がまだあったらしく、不満を漏らし出した。
「それは、その時俺がボール持ってたからだろ。写真は、球技大会を見る事が出来ない優奈さんに送ってあげる為だし」
「じゃあ、優衣と律が2人揃って寝不足で学校来た日の説明は? あれ、偶然じゃないだろ。2人で何か隠してるだろ」
次々出てくる晃の疑念。
疑いを持った人間に嘘を吐くのは逆効果に思えた。
そもそもあの時の嘘に、悪意はなかった。優衣にとっては善意しかなかった嘘。
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