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「はぁ!? みんなの前で告っておいてウロついてないとか良く言えたな、お前」
最早ケンカ腰の晃。
「どういう了見してんだよ、お前。『幼なじみに戻りたい』が告白だったら、この世の異性同士の幼なじみ全部がカップルって事になるだろうが」
晃の売るケンカを即買。だって、俺には晃にキレられる筋合いがない。
「男の幼なじみがいる女となんか、付き合わなきゃ良かったわ」
晃がポロっと零した言葉に、思わず掴みかかる。
「何、それ。優衣と付き合って後悔したって事?」
大事な幼なじみが貶された様な気がして、無性に腹が立った。
「…しんどいんだよ。常に男の影がある女って」
晃が、俺に胸倉を捕まれながら、視線を外した。
「優衣のお姉さんは、もっと辛かったんじゃない? それが他人じゃなくて自分の妹だったんだから」
晃の言葉に、晃のシャツを握っていた手が緩む。
ただ、優衣の事が大事だっただけだった。だって、幼なじみだから。
晃と優奈さんを傷つけるつもりなんか、1ミリもなかった。それなのに…。
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