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あの出来事からもう10年も経っていた。
「先輩!今日こそ彼女をゲットしましょう!」
俺になついている後輩からまた合コンの誘いが来た。
そろそろ俺も彼女がほしい。
あれから10年。
もう、美紀も許してくれるだろう。
「かんぱーい」
今日の面子は看護士だ。
日頃から命を扱う仕事のためストレスが溜まっているのだろう。はっちゃけっぶりが尋常じゃない。俺のイメージしていた清楚で優しい看護士はどこにもいなかった。
「飲みすぎた」
俺と同い年という婦長に浴びるように飲まされて気持ちが悪くなった。
「ちょっとトイレ」
居酒屋のトイレから出ると一人の女性が待っていた。
「すいません」
この店はトイレが一つしか無いので男女共用である。
「あ、大丈夫ですか?わたしさっきの合コンに参加してた未来(みく)です」
未来(みく)?こんな子いたかな?
でも、俺の思ってた看護士像らしくすごく優しい感じがした。
「帰ってくるのが遅かったので心配になって見にきたんです」
「大丈夫、ちょっと飲みすぎただけだから」
「本当ですか?顔真っ赤ですよ。あんまり飲みすぎないほうがいいですよ」
酒にはあまり強くないから無理をしすぎたのかもしれない。
「じゃあ、看護士さんの診断にしたがって今日は帰るかな」
「看護士は診断しませんよ。それは医者の領分ですから」
「やけにトゲがある言い方だね」
「だって本当なんですから」
「医者が嫌い」
「医者が好きな看護士なんてほとんどいませんよ」
お互い見つめあったあと何故か二人で爆笑した。
酒のせいか、看護士だからかわからないがすごく気持ちが柔らかくなった。
その日は彼女と連絡先を交換し合コンはおひらきになった。
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