10年

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ある日、後輩が数週間ぶりに合コンに誘ってきた。 「先輩!合コン行きましょう」 久しぶりに見た後輩はなんだかいつにも増して顔色が悪かった。 「お前大丈夫か?合コンのやり過ぎだぞ」 後輩は少し沈黙し、申し訳ない顔で頭をポリポリと掻きだした。 「いや~実はここ数週間あの合コンの婦長と付き合ってたんですよ」 「まじか」 この発言はここ数年…いや、数十年で一番驚いた。 「え、なんで、お前、あの婦長だろ」 パニックでよくわからない質問をしてしまった。 「あのリバースの次の日に婦長から連絡があったんですよ」 後輩の話しによれば、婦長が先日の件を謝りたいから二人で会いたいということになり、飲みにでかけたそうだ。 そこで意気投合し、気づいたら終電がなくなってそうだ。 たまたま二人とも次の日が休みだったのでホテルに泊まることになり、酒の力なのか流れなのかわからないがそこで関係を持ち付き合い始めたと。 「ならなんで合コンに行くんだよ」 また後輩は浮かない顔になり 「厳しいんですよ、あの婦長」 と呟いた。 「念願の彼女だろ、ある程度は我慢しろよ」 「無理ですよ」 後輩の話しによれば、デート中は常に腕を組み、食事の時は「あ~ん」と食べさせようとする。 それくらいなら別に我慢できるだろうと思ったが、それから束縛が段々とエスカレートしていき、家に泊まるようになり、携帯にはGPSで場所を監視され、一週間の予定は常に管理され、他の女性と会話(店員など)すれば鬼のような顔で怒鳴り散らす。 そんなことが続いたため別れたという。 「だから、合コンしましょう」 「その話し聞いて俺が頷くとでも」 「ですよね~」 その話しを聞いて俺は未来(みく)のことを思い出した。 「ひさしぶりに連絡してみようかな」
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