#001 終わりのはじまり

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副工場長や社員の人たちが、緊急措置で私を製造ラインの人たちの視界に入らない調理場に移した。 あんなに騒ぎになってしまって、一体これからどうなってしまうのかと… 社員にたずねると、私が移動し、暴力を振るったお局様はお咎めなしなんだって。 私の居ないラインでまだ、私の悪口に花を咲かせていたと、風の噂で聞いた。 どれだけ私の事が気に食わないんだろう。 この分ではいてもいなくても、覚えられている限りはずっと言われ続けるんだろう。 今まで辞めた人達の事も口汚く罵る様な人たちなのだから。 出来ない私が悪いのだとずっと思っていた。 そう思えば気楽だった。 でも。 社員の人たちからは段々仕事が出来る様になってきたと言われていたし、丁寧だと褒められもしていた。 褒められて嬉しくないなんてことは無い筈なのに、今の私には苦しいだけだった。 出来ていないわけじゃない。 それならどうしてあんな目に合わなくてはいけないのか判らないから。 それでも。 私に仕事を辞めるという選択肢は与えられないらしいので… 今日もこうして、職場への道程を歩いているわけで。
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