#002 ここは、白い国

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私は、虹のふもとを探して穴に落ちた。 落ちて辿り着いた先は、見たことのない、不思議な場所だった。 体中が痛い。 落ちた時にぶつけたのかもしれない。 かと言って、悲鳴を上げる程でもないし、多分、大したことではないんだろうなと思う。 それにしても。 ここがどういう場所なのか全くわからない。 知りたくて、体を動かそうとすると、何かがしっかり体中に巻き付いているようで身動きがとれなかった。 なんだろう? 辛うじて動く首で体に視線をやると、私は蚕の繭のようなものに包まれていて、高い所にぶら下げられているようだった。 何事なんだろう。 動こうとすると、ゆーらゆーらと私が揺れる。 一体どこにぶら下がっているんだろうと不思議に思い上を向くと、真っ白い、葉も花もないとても大きな木の様なものの枝に、私をつなぐ繭の糸の先がくっついていた。 結んであるというよりは、接着といった雰囲気で、こんな不思議な繊維みたいなもの、全然見たことがないなと首を傾げる。 真っ白い木のようなそれには、何故か実でもなるように、沢山魚がなっていた。 とても気持ちが悪い。
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