#002 ここは、白い国

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(うわっ…気持ち悪っ…) 思わず声を上げた。 上げたと、思ったのだけれど… 声は喉に張り付いた様に、出てこなかった。 此処が何処なのかもわからないのに話せないのは不便だな。 自分のことなのに、まるで他人の事の様に感じる。 声が出ないことよりも、此処が何処で、今は何日の何時なのか位はしっておきたくて周囲を見渡すと、驚くほど何もない場所だった。 周囲は、どこもかしこも真っ白。 でも、壁らしきものがあるので室内かもしれないと思う。 しかし、こんな妙な状況になっているので、自分の目に見えている物が本当に壁で、ここが屋内なのかどうかは判らない。 ただ、あまり広い場所ではない印象を持つ。 上を見上げ、木の更に上はどうなっているのか確かめようとすると… 枝から、私の顔面に魚らしきものがべちっと降ってきた。 まるで上に何があるのか、見るのを邪魔されているようだと思う。
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