イノセントワァルド

#001 終わりのはじまり

あまりに毎日怒鳴られ続けるので、出来ない私がオカシイのかと思い始めた時だった。

そうか、私はターゲットになってしまたのか。
そう知った時には遅かった。

製造ラインには、パート長以外にラインを統括する担当社員がついている。
私のいたラインは、副工場長がそれを担当していた。

入社一週間でパート全員から無視され、仕事にならなくなった私は、副工場長に退職を願い出た。
しかし、副工場長からは、別のラインに移動させるからどうにか辞めないで欲しいと頼み込まれ…渋々続けることに。

副工場長の話によれば、私の配属されたラインでは以前から新しく入ってきた若い子へのイジメが常習化されていて、皆すぐに辞めてしまう。
残るのはイジメの元凶となっている古参のみ、いつでも人手不足で困り果て、その監視の為に立場の高い自分が統括に入っていたのだそうで。

だから、自分が何とかするから、と。

でもね。
結論から簡単に言うと、何とかならなかったわけで。

私は、勤めて一週間で10kg体重が落ちた。
初めから少し緩かった制服のズボンは、ベルトの穴が無くなる程締め上げても歩く度にお尻の上まで落ちて来た。