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「んっ……ぁ、そこ」
「あぁ、ここ? 可愛らしく立ち上がってるよ。ここに、もっと欲しい?」
「ん……うん」
シャワーブースで既に身体を繋いでるけど、自分の部屋のベッドでもお前を可愛がりたい、なんて言われて、俺が頷かない選択肢はない。
鎖骨から肩を撫でるようにシャツを剥かれ、露わになった上半身に、先輩の手が遠慮のない動きを展開し始めている。
「可愛らしいこのふたつの粒、どうしてやるのがいい?」
「はんっ……あっ、あぁ」
二本の指できゅうきゅうと摘み上げられていた乳首が、今度は親指でグッと押しつぶされる。
「あっ! 違っ……それ、違う。先輩の意地悪っ」
「ふっ。違った? じゃあ、口でするほう、希望?」
「あ、んっ……うん、それっ」
ねっとりとした舌の感触が、固く立ち上がった粒の周囲を這う。
うん、こっち。口に出すのは恥ずかしいけど、どうせされるなら、指よりもこっちのほうが感じる。
「先輩っ……あっ」
望む愛撫を与えられ、快感に先輩の髪をかき抱けば、眼鏡のフレームに指が当たってしまった。
「すみません。眼鏡、外しときます?」
「ん、お前が外して?」
許可を得て、眼鏡のツルにそっと指をかけて持ち上げた。そこで、ふと思い出す。
「そういえば先輩、出逢ってからずっと黒縁眼鏡を愛用されてますけど、他のフレームにはしないんですか?」
「あああぁ? お前が言ったんだろ?」
「えっ?」
「お前が! 『先輩には黒縁が一番似合う』って言ったんじゃないか! 出逢ってすぐの頃!」
「えぇっ?」
マジか!
「まさか、言っといて覚えてないとか言わないよな?」
「いえ、もちろん覚えてます」
嘘だけど。
「嘘だな。貼りつけたような笑顔、俺に向けるな。お前、昨日一日、そんな顔してたろ。俺と目線を合わさないようにしてたのも気づいてた。おかしいって思ったし、心配してたんだぞ」
「え、バレてた?」
「あぁ。けど、俺が原因だったんだもんな、全部。悪かった」
「いえ、俺が勝手に勘違いして……んっ」
チュッと、唇が押し当てられる。俺の言葉を封じるように。
「そこは、俺のせいにしとけ」
「でも……」
「いいんだよ。お前は、もっと我が儘になっていいんだ。俺を振り回して困らせるくらいになってくれ。その代わり――」
「んっ……」
今度は、しっとりと唇が合わさる。ただ、ただ、優しく。
「俺だけのために、甘く蕩ける『マナ』を作り続けてくれよ。ずっと」
熱い吐息が、首筋へと滑りおりる。
「俺が、責任持って残さず食ってやるから」
ちゅうっと、きつく吸いついた唇が、所有のしるしをそこに残した。
そんなのなくても、俺はあなたのものだし。あなた以外に目を向けたりしないよ?
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