コーヒーゼリー

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コーヒーゼリー

ピーンポーンピーンポーンピーンポーン 「はいはい、ったくうるせーよ、1回で聞こえてる!」 「よぉ!豊永、邪魔するぜ」 扉を開けたら古賀がいた。 「ったく邪魔するなら帰れってーの」 「お邪魔しまーす。で、今日の晩飯なに?」 「カルボナーラだ」 「おぉ!」 古賀は仕事帰りに晩飯を食べに来るようになった。 なんか洸が2人になった気分だ。 「お前さぁ、自分ん家で夕飯食べろよ。 逆に大変だろ」 「飯つくんのだりーじゃん。 ただで美味しい飯、食べれんならそっち選ぶさ」 こいつ、本当はタダ飯食うために俺を脅したんじゃねーのか? そう思わずにはいられなかった。   「ふぅー、ごちそうさま。 腹もいっぱいになったし、帰るわ」 「じゃあな」 「お前、送ってけよ」 「はぁ?!なんで。」 「一応恋人同士なんだから駅くらい送るのなんか当たり前だろ?」 「はぁー、行くか」 結局俺は古賀と付き合うようにした。 「あ、豊永、コンビニ寄ろうぜ」 「別にいいけど」 「りつ?」 「こ、う」 「あ、ちょうどよかった。 これからりつの家に行こうかなって思ってて」 「よぉ、佐伯久しぶりだな。」 「えーと、誰?」 「古賀だよ、古賀岳」 「古賀?うーん」 「だからなんでお前ら覚えてねーんだよ! 高校のとき豊永に喧嘩売りにいってただろ」 「あー!思い出した。古賀君ね。 そうか、2人共、仲よくなったんだ」 「あー、仲良しだぜ、俺ら付き合ってるしな」 「え?付き合ってるって・・・恋、人として?」 「あぁ」 「男同士なのに?」 「引くか?」 「いや、そんなことは」 「古賀、そろそろ・・・」 話を終わらそうと古賀の方に向いたら、古賀が 自分の口で俺の口をふさいできて・・・ 「じゃあ、またな、梨月」 古賀は走り去っていった。 残された俺らは・・・ 「本当、なんだ、古賀君と付き合ってるって」 「あ、あぁ」 「僕たち24だしね、そろそろ相手くらい見つけないとね。 同性愛かぁ~やるじゃん、りつ」 「洸」 「はい、これ。 渡したかっただけだから、じゃあね。」 俺は動けなかった。 洸を追いかけることも言い訳することも本当のことをいうこともできなかった。 ただ呆然と、走り去る洸が見えなくなるまで見つめていた。 洸から渡された紙袋には俺の好きなコーヒーゼリーが入っていた。
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