柚ちゃん

1/1
前へ
/66ページ
次へ

柚ちゃん

「あ、あの遅れてすいません」 「ううん、僕も今来たとこだから」 あの合コンで中村さんと連絡先を交換した。 そして今日は中村さんとお出かけする日だ。 「あのさ、他人行儀だから名前で呼んでいい? あとお互い敬語も無しにしよう。」 「わ、かりました、頑張ります」 「じゃあ柚ちゃんね、柚ちゃんも洸って呼んでいいから。」 「じゃ、じゃあ洸君」 「うん、じゃあ、いこっか」 「はい、じゃなくてうん」 今、流行りのミステリー映画をみたり、カフェにいったり、なかなか楽しい。 「よぉ、佐伯」 誰かに呼ばれてふりむくと古賀君がいた。 りつも・・・ 「なにしてんの?佐伯。 あれ、後ろの子、彼女?可愛いじゃん」 「古賀君とりつこそ、お出かけなんて仲いいね。」 りつはなにも言わない。 怒ってるのかな? 僕が柚ちゃんのこと、なにも言わなかったから。 でもまだ彼女じゃないし、りつだって古賀君との仲、僕には黙ってたし。 そーいやコーヒーゼリーを渡しにいって以来、りつと会うのは久しぶりだな。 「よかったじゃん、こんな可愛い彼女ができて。 古賀、そろそろ行くぞ、邪魔しちゃ悪いし。」 「待てよ、梨月。」 なんだか嫌だ。 りつの隣は僕の場所だったのに。 「洸君?」 「ん、あ! ゴメン、彼女じゃないって弁解するの忘れてた!」 「え?ううん、大丈夫」 「よかった~、えーと、じゃあいこっか」 「うん」 僕はなにやってるんだろう。 今は柚ちゃんといるのに。 しっかりしろ! せっかくのお出かけ楽しまないと!!
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加