海③

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海③

夕方になり、子供らの保護者がきて、お礼をいって帰った。 「じゃあ、またな、佐伯、おにーさんもありがとう!」 「こら!先生って呼びなさい!」 ゲンコツを落とされた子供がかわいそうだ。 「じゃあ俺らも帰るか。」 「うん、あ、ありがとうね、りつ。 子供たちと一緒に遊んでくれて」 「別に・・・楽しかったし。 てゆーかお礼言われるほどなにもしていないよ。 ただ子供と混じって遊んだだけだ。 やっぱり子供の体力は凄いよな。」 「あー、それはわかる。歳とったなって改めて実感するもん」 「お前は体力なさ過ぎだ」 ※※※ 来たとき同様電車で帰る。 俺たちが乗った車両には誰もいない。 なんだか貸しきったみたいで気持ちがいい。 ふと隣をみたら洸は寝ていた。 「ガキかよ」 こいつといると本当飽きない。 「洸、寝たのか?」 「・・・」 「俺さ、お前が好きだよ。」   額に軽くキスをする。 あー、や、やっちまった。 寝てるよな?! よかった。寝てるっぽい。    てゆーか俺、ヘタレだよな。 額にキスしただけで動揺して。 いっそのこと全部暴露して、無理矢理キスして、無理矢理襲って、嫌われたほうがいいんじゃないのか? そしたら洸だってこんな無防備に寝るなんてしないだろうし、例え関係が壊れたとしてもそこまでの付き合いだったんだと納得できるし、俺も前に進めるかもしれない。 だけどそんな簡単にことが運べたら苦労しない。 諦めることも、関係を壊すこともできない俺はやっぱりヘタレなんだ。
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