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一方カエルはと言うと、彼女に同調するように動かなかった。
愛しい者を眺める幸せと、一歩でも動いてしまえば壊れる儚さの間で、一日でも長くそうしていたいと思っていた。
もし、自分が毎朝餌をもって現れる皇太子であったなら、彼女を選びはしないだろう。
彼女は国を幸せにはしない。
だが、カエルはただのカエルだった。
彼女の美しさに心を奪われてしまった、弱い生き物だ。
守るものなどない。
ただの人間だったなら、彼女を奪って逃げるのに。
いや、彼女が同じヒキガエルだったなら……。
彼女は例えヒキガエルになったとしても、変わらず美しいだろう。
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