フキの下

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ヒキガエルが、かの大理石のテーブルに乗れば、彼女は迷わずキスをするだろう。 愛があるかないかなど、見た目ではわからない。 それくらいの演技はするに違いない。 そうして、彼女は花嫁として王宮に迎え入れられるはずだ。 すると、カエルは用済となり、この庭園の隅でひっそりと暮らし、いずれ息絶えるのだ。 このキスは彼女を幸せにするだろうが、カエルを救いはしないのだ。 ヒキガエルは彼女が去るまで、葉の陰から出ることはなかった。
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