4人が本棚に入れています
本棚に追加
この一人と一匹が初めて出会った日から、何回の逢瀬を交わした頃だろうか。
もう、何日も同じことの繰返しで、そこにいる誰もが飽き飽きしていた。
当の一人と一匹を除いては。
とは言え、この関係は時限がある。
王室も皇太子も人の子であるからして、神のようにその時を待つことは出来ないのである。
それは、期限の数日前になるだろうか。
いつものように少女は大理石のガーデンテーブルにつき、ヒキガエルはフキの下に隠れていた。
空は灰色の曇天、カエルが瞬きの回数を減らすほど、辺りの空気は水を含んでいた。
水が盛り上がるほど満たされたコップがあり、あと一滴で溢れてしまうような、そんな天気だ。
カエルは空気と自分の境がわからなくなる錯覚を覚えていた。
だからか、彼女が拳を弛めたその瞬間をより早く感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!