歩み

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侍女たちでさえ、彼女の行動に驚いたらしい。 ある者は自らの裾に足を絡ませた。 ある者はその感情を赤裸様に示して見せた。 ある者は携えていた傘を落とした。 彼女らのそういった無礼な反応が、かの人の行いをより劇的に装飾した。 天から吊るされた糸が彼女を立たせたかのように、背筋を伸ばして立ち上がる。 その糸は神にでも操られているのだろうか。 この雲たちはそんな神の姿を隠すためにあるのだろうか。 その歩みは、歩かされているような、逆に強い決意のもとに動いているような、不思議なものだった。 彼女が一歩を出すと、ドレスの裾が小石や砂を弾いた。 その一粒がカエルの目前へ転がり、そのまま跳ねて眉間を打った。 彼女が歩めば、その度にカエルの体を砂の粒が叩いた。 全身がピリピリと痛む。
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