少女とヒキガエル

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フキの下でヒキガエルは考えた。 美しいな、と。 己の立派な体躯に比べ、大きさはあるものの、全体として華奢で儚い。 薄い皮膚は大理石のように白く滑らかで、唇は花の蕾だ。 薄く布で覆われた腕は、新芽を抱く若木のようにしなやかで、その先にある両の手はさながら花びらだ。 花に例えるなら、風雨に晒されたことのない、初な百合。 匂い立つような色気はないが、自然な香りをまとっている。 実に素直な女性なのだ。
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