少女とヒキガエル

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この庭に住むヒキガエルは、代々こうして娘をあてがわれて、キスをもらう。 そうすることで彼らが実際何をするでもない。 これは古い慣習なのだ。 カエルはカエル。神でも王子でもない。 しかし、このヒキガエルはこの娘に恋をした。 彼女が愛を込めたキスをしてくれるのならば、神にでもなりたいくらいに。 そうして、彼女を傷付けるくらいなら、死んでしまいたいほどに。 触れたく思い、また、それをこの世の終わりのように怖がった。
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