林 浩二1

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「つまり結局あなたは、髪の毛を入れたと」 「はい……」 第一印象は「変な女」だった。 そりゃそうだろう。玄関を開けた途端に尻餅をつき、俺から離れるようにズルズルと座ったまま後退りをしたのだから。 「何で……何で……」と言いながら、怯えるように俺から離れようとしたのだから。 黒い箱を持った、初対面の俺から……。 今日は休みだった。 スーツを着て毎日毎日出社する。 そんなサラリーマンである俺が唯一スーツを着なくて済む最高の1日だった。 朝寝坊して、部屋でゆっくりと二度寝三度寝を決め込む俺に、娘の愛花がのしかかる。 今年4歳になる可愛い愛娘である愛花が「パパ起きてー」と言いながら俺の上にまたがる。 もう少し寝たい。寝たいけど愛花が可愛い。可愛くて思わず抱き寄せてしまう。 そんな親バカ行動を取っていた俺に、妻の冴子が言った。
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