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「出張……ですか」
「そうなんだ。手当もきちんと出るから、頼むよ」
その話が来たのは、林さんと別れて出社した日の事だった。
林さんが物凄くやつれた姿で玄関から出てきたのが見え、彼に挨拶をした日の事だった。
やつれていた原因は多分、あの箱の事なのだろう。
きっと彼もあれをどうにかしようとしたんだ。捨てようとしたんだ。
あのやつれた様子からして、たぶん相当頑張ったんだろうな。
でも結局、箱は帰ってくる。扉の前までやってくる。
何度捨てても、どういう訳か扉の前に置かれる。
「分かりました」
「ありがとう。助かるよ」
やつれた林を見かけ、少しだけ話をした日。つまり今日。
出張の話が来た。泊り込みで別の部署に行かなくてはならなくなった。
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