秘密のスナック菓子

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秘密のスナック菓子

 久しぶりに映画館に来た。  目当てはアクションもののハリウッド映画で、上映時間は結構長い。その分見応えはあるが、多分腹が減るだろうから、何か買っていくことにした。  販売コーナーであれこれ物色していると、隣のレジにいた客が、見たことのないスナック菓子を手にしているのが見えた。  ざっと目にしたメニューにその品は見当たらない。  もしかしたら会員特典だけで手に入る物なのだろうか。  そう思ったが、ダメ元で隣と同じ物を注文してみると、あっさり同じスナック菓子が出て来た。  どうやら知る人だけが買う裏メニュー的品らしい。  たまたま来たのに珍しい物が買えてラッキーと、スナックを持って席に着いた。  映画が始まるまでに一口と、カップの中のスナックをつまむ。予想外のうまさで一気に食い漁ったところで映画が始まった。  わざわざ映画館に足を運んでまで見たかった期待作。なのに内容が頭に入ってこない。考えるのはさっきのスナック菓子のことばかりだ。  映画がすんだらもう一度あれを買おう。そればかりを考え、エンディングもろくに見ず物販コーナーへ向かった。  しかしおかしなことに、並んでいる俺を追い抜いて、他の客がレジに進むのだ。店員も、いくら声をかけても俺には見向きもしない。  気は長い方だが、さすがに扱いの酷さに腹が立ち、レジに怒鳴りこもうとした時だった。  ふわりと香った匂いに意識の統べを奪われる。  これはあのスナック菓子の匂いだ。
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