2人が本棚に入れています
本棚に追加
秘密のスナック菓子
久しぶりに映画館に来た。
目当てはアクションもののハリウッド映画で、上映時間は結構長い。その分見応えはあるが、多分腹が減るだろうから、何か買っていくことにした。
販売コーナーであれこれ物色していると、隣のレジにいた客が、見たことのないスナック菓子を手にしているのが見えた。
ざっと目にしたメニューにその品は見当たらない。
もしかしたら会員特典だけで手に入る物なのだろうか。
そう思ったが、ダメ元で隣と同じ物を注文してみると、あっさり同じスナック菓子が出て来た。
どうやら知る人だけが買う裏メニュー的品らしい。
たまたま来たのに珍しい物が買えてラッキーと、スナックを持って席に着いた。
映画が始まるまでに一口と、カップの中のスナックをつまむ。予想外のうまさで一気に食い漁ったところで映画が始まった。
わざわざ映画館に足を運んでまで見たかった期待作。なのに内容が頭に入ってこない。考えるのはさっきのスナック菓子のことばかりだ。
映画がすんだらもう一度あれを買おう。そればかりを考え、エンディングもろくに見ず物販コーナーへ向かった。
しかしおかしなことに、並んでいる俺を追い抜いて、他の客がレジに進むのだ。店員も、いくら声をかけても俺には見向きもしない。
気は長い方だが、さすがに扱いの酷さに腹が立ち、レジに怒鳴りこもうとした時だった。
ふわりと香った匂いに意識の統べを奪われる。
これはあのスナック菓子の匂いだ。
最初のコメントを投稿しよう!