君の脚は綺麗だ

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「でも手術でカナダに飛んで、泰生が近くにいなくなったとき想像したんだ。二人で歩く未来を。そしたら、別に無しじゃないかなって」 「それって手術に成功した時の話だよね? もし、もしだよ? 手術が成功しなかったら?」 「そうしたら……今まで通りの関係なのかもしれないって思うよ」  俺の言葉を聞いた綾香は顔を伏せると顔一杯に力を入れて目を瞑った。 「私……私最低だ。最低の女だ。今凄い酷い事考えてた」 「一体なんだっていうんだよ」 「ごめん。ごめん貴志。私こんな顔でこんな気持ちで泰生ちゃんの事迎えられない!」  顔を伏せたまま綾香はその場から走って行ってしまった。引き止めようと追いかけようと足を踏み出した瞬間、細谷さんに腕を掴まれて止められる。 「仕方ないわね。綾香は私が追いかけるからあんたはここで泰生を待ってなさい。出てきた時に誰もいなかったら可哀想でしょ」  細谷さんが綾香を追いかけて走り出すと、必然的に俺は一人で残される形になる。  そして俺がロビーに出てくる人だかりに目を向けると、待ちに待った彼女が姿を現した。人だかりの一番最後。後ろには誰もいなく、焦って早く歩く必要もない位置をゆっくりとこちらに向かって進んできた。 「おかえり」
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