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「何でまだいるの?」
朝、出掛ける時に爆睡していた彼に置き手紙を残した。
『部屋は漁るな。
帰る時は鍵を掛けて、ポストに入れておいて。』
盗られるような物は下着くらいで、貴重品は念の為持って出掛けたし、見た瞬間から、彼は危険な人物ではないだろうと思っていた。
むしろ……。
「おかえりなさい。
お腹が空きました」
あたしの問いには答えず、グーグー鳴るお腹を押さえながら笑っている彼。
身に付けている物は高級ブランドの腕時計やスーツ。
きっと履いていた靴なんかも高いんだろう。
危険人物からは程遠い、お金持ちの匂いがプンプンした。
だからヤバい事にはならないだろうと、放置して強盗にでも遭われたら何となく気分が悪いだろうと連れ帰ったんだ。
だからってまだいるとは思わなかったけど……。
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