転生者

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白い色は神聖なもの。 赤い瞳は神の御使い。 そんなお伽話に振り回される宗教関係者というのは、もしかすると頭が悪いのかもしれない。 だが、彼等はようやく、本命を探しだした――多分。 「ミャ?」 「こ、これが――っ。」 ――それは、非常に小さく、幼体だと思われる姿だったのだが。 「何?何なの?」 警戒するように、少年は子猫だと思っている毛玉を腕に抱きしめる。 そんな彼の腕の中で、毛玉はキョトンとした様子で飼い主である少年を見つめていた。 「ミャー。」 「何と、猫に擬態しておるのか。」 「しかし、前足しかありませんね。」 「そういう個体か?それとも、何かの理由で失ったか?」 「だから、あんたら一体何なんだよ!」 少年の腕の中にあるというのに、毛玉を見てガヤガヤと騒ぐ一団は、非常に煩い。 しかし、少年の言葉に、一人の老人が口を開いた。 「ホッホッホッ。神託は間違いないようじゃのぅ。」 これに、場に緊張が走る。 「神獣に選ばれし者、其は勇者成りて、この世を破滅から救わん。一つの希望の光となりし導き手は、神の身許より真の勇気ある者を選びて、白き姿に赤き瞳を持つ者也――。」 そうして、再び老人が笑う。 「ホッホッホッ。」 これを聞いた少年は、 「はぁ?」 わけがわからない、といった様子で口を開き、 「ミャァ?」 毛玉もまた、理解出来ない、というように揃って口を開いていた。 そうして、笑う老人に有難がる謎の集団と、それに取り囲まれた少年と毛玉の、何とも奇妙な会合が開かれていた。
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