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揚羽からの突然の告白に、俺は頭が真っ白になった。
冗談を言っているのだと思ったが、こちらを見つめる彼女の目がそれを否定しているように感じた。
「えと、それって……つまり」
動揺し、言葉が出ない。
どう答えるべきか、考えがまとまらず言葉が詰まる。
そんな俺を彼女はジッと見つめていたが、突然満面の笑みを浮かべた。
「先輩、今の話、嘘ですよ?」
「はい?」
「そんな真剣にならないでくださいよ~」
「嘘って、どこまで?」
「ん~、半分ぐらいは?」
「半分って、どこまでだよ? アゲハチョウの思い? それとも……」
俺のことを、好きって言ったこと、なのか?
「ご想像にお任せします! や~、勢いで思わず言うつもりのない話をいっちゃったな~」
彼女はそう言うと、こちらに背を向けて歩き出した。
いつも彼女に振り回されていることを思えば、今の話が嘘だというのも納得がいく。
そう自分に言い聞かせて、俺は荷物を抱えなおして彼女の後を追った。
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