アゲハチョウの片思い

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「で、この箱の中身は何だ?」 「あれ? ジュースって言いませんでしたっけ?」 「それは聞いた。何のジュースかと思ってな。スーパーじゃ買えねーの?」 今時わざわざ遠くの個人商店に行かずとも、大抵の物はスーパーなりで買えるはずだが。 「じゃあ、百聞は一見になんちゃらです! 一本進呈しますよ」 そう言うと彼女は俺が抱える段ボール箱から、ペットボトルを一本取りだして見せた。 「……砂糖水?」 ペットボトルのラベルには、書きなぐったような豪快な筆文字でそう書かれていた。 「はい、砂糖水です!」 「いやいやいや、無いだろ!? 砂糖水!? ただの砂糖水!?」 「ただの砂糖水じゃありませんよ! 最高の水と最高の砂糖を絶妙な配分で混ぜ合わせた、最高の砂糖水です!」 「ただの砂糖水じゃねーか!」 「違いますよ! とにかく飲んでみてください!」
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