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そう言うと揚羽は、ペットボトルの蓋を外して俺の口元に突きだした。
渋々口に含んでみると、砂糖水の名に偽り無しな甘味が口一杯に広がった。
……うん、砂糖水だこれ。
「どうですか、先輩!?」
「なんか、虫になった気分」
「……それは、美味しかったという意味ですか?」
「んな訳あるか」
「んー、先輩にはまだちょっと早かったか」
その境地に俺がたどり着く日は絶対に来ないぞ。
「よくもまあこんなものを飲めるなぁ」
「こんなものとは失礼な。私にとってはこれが思い出の味なんですよ!」
マジかよ、砂糖水が思い出の味かよ。
彼女の生い立ちを思うと、あながち嘘じゃなさそうで思わず泣きそうになる。
「ちょうど喉も渇いてるでしょうし、このまま一気にグビッといけばきっと目覚めますって!」
「あ、ちょっ、危な!」
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