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「先輩ってチョウチョ好きなんですか?」
「割りと好き。なんかヒラヒラ飛んでるの可愛くね?」
「へー。なんか意外です」
「そうか?」
「いや、チョウチョって可愛い系じゃないですか? 男の先輩だったらカブトムシとかそういうの好きなのかと」
「あーチョウチョが好きというか、アゲハチョウが好きなんだよな」
「へぇ……。どこが好きなんですか?」
「いや、昔の話なんだけどさ」
あれは小4の夏休みだった。
当時虫取りがマイブームだった俺は、毎日近所の田んぼ道で昆虫採集に勤しんでいた。
その日もいつもと同じルートを歩き回って、日が暮れ始めたから家路に着こうとしていた。
その時、水を張った田んぼからパシャパシャと水が跳ねる音が聞こえた。
気になって辺りを探してみると、綺麗なアゲハチョウが水面に浮かんでいた。
羽が濡れてしまったからなのか、懸命に飛び立とうとしても上手くいかないようだった。
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