8.変わらずの愛

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 その力強さに、旭の身体が一瞬後ろに動く。でも、グッと堪え、その勢いに耐えた。 「僕も……旭が好き! 好き、好き、好き……」 「夏樹……」 「でも、好きだから……大好きだから……僕じゃ駄目だって思うんだ」 「……なんでそう思うんだよ」 「だって、旭にはちゃんとした家庭を築いて欲しいから……それを……皆が願ってるから……」  家庭を築いて欲しいと夏樹は言う。でも、そんなの旭は求めていない。 「なんで僕なの……。旭の事を好きな子……いっぱいいるのに……っ」 「夏樹……」 「なんで僕……女の子じゃなかったんだろう……。なんで僕は……ンッ……」  もう、我慢の限界だった。これ以上、夏樹を思い詰めさせたくはなかった。旭は、なんで、なんでと何度も言う夏樹の口を塞いだ。そして、落ち着きを取り戻したと感じた瞬間、唇を離す。 「なんで僕……旭の事…こんなに好きになっちゃったんだろう……」 「それはお互い様……」  旭はそう言うと、ニコッと笑った。笑って、また夏樹の震えた身体を優しく抱き締める。 「俺は夏樹とずっと一緒にいたい。夏樹と家庭を築きたい……」 「こ……子供できない……」 「子供? いらないよ。俺は夏樹がいれば十分幸せ。夏樹は? 子供欲しい?」   そう尋ねると、夏樹は頭を左右に振った。 「旭がいれば……側にいてくれたら……それだけで……僕も幸せ……」 「夏樹……」 「僕も旭がいればそれでいい。前みたいに側にいたい……っ」 「俺も……好きだーー!」 「わあっ!」  旭は嬉しさのあまり、そのまま夏樹をベッドに押し倒した。そして、ゴソゴソっとポケットからある物を取り出し、夏樹の細い左指に嵌める。 「旭……これ……」 「指輪。今さっき買ってきた」  それは、ここに来る途中寄ったジュエリーショップで買った物だった。 「な……んで……?」 「なんで? 夏樹の気持ちがもう不安にならないお守りにしたくて。安物だけどね」 「っ……」  夏樹は指輪を見て、また泣き出した。
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