第2話桃ちゃんと熱を出した僕

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「…夏樹様…御声が少し掠れておりますが…体調でも悪くなりましたか?」 桃は夏樹の声が変なのに気付いて、眉を寄せながら夏樹に尋ねる。 「っ五月蝿いですよ!!貴方には関係ありませんっ!!」 それでもしつこい桃の様子に、夏樹は苛立ちながら怒鳴り付けた。 ……っ……夏樹の馬鹿野郎がっ!! 「っ…関係無くはねぇよ!!」 スパンッ 頑な態度で、自分を拒み続ける夏樹に桃は苛立つと、勢い良く障子を開け放つ。 「なっ何ですか…!?いきなり入って来るなんて…構わないでくださいって言ったのに…」 「しつこいし…本当に貴方は…メイド兼執事なんですかっ!?普通はそこまで干渉せずに従順でしょう!?」 いきなり桃が入って来たので、夏樹はよりいっそう不機嫌になり怒鳴り付けた。 ツカツカツカ… 「なんと言われようとも結構だ!!具合悪いのに…放って置けるわけねぇだろう!!」 ピトッ 桃は凄い剣幕で夏樹に言い放つと、素早く手袋を片方脱ぎ… 素手になった右手を夏樹の額に当てる。 「…」 夏樹は桃の剣幕と行動力にビックリして目が点になった。 「熱いな…待ってろ。直ぐに医者を呼んでくる」 桃は右側を夏樹の額から話すと、夏樹に言って障子を閉めると部屋から足早に出て行った。 「何なんだ…あの人…オカマだと思っていたら…急に歳上の男の人見たいな口調に変わるし…」 「マジで訳分かんない…けど…あの人に触られて嫌じゃなかった…」 夏樹は膝を抱えると下に俯く。 …確か昔にも…こんな事があったな… 『夏樹!!熱があるなら無理しちゃ駄目だぞ!?ほーら、見ろ!!熱いじゃないかっ!!』 『待ってろ!!今、母さん呼んでくるから!!』 今は遠い昔、生き別れになった兄に夏樹は、先程見たいに額に触れられ… 兄に面倒を見られて居たことを夏樹は思い出す。 ……あの桃ちゃんって人…桃お兄ちゃんと同じ名前だけど… …有り得ないよ…顔はうろ覚えだけど…女装するような人じゃなかった… 首を振って、夏樹は否定するとゴロンと仰向けに寝転ぶ。
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