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バタバタバタッ
「流!!流は居るかっ!?」
廊下を猛ダッシュで走りながら、桃は流の名前を呼ぶ。
タッタッタ…
「桃さんっ!?どうかなさいましたかっ!?」
桃の声に気付き、慌てて流が寝起きの状態で駆け寄って来た。
「夏樹が熱を出したんだ!!すぐに別邸に居る未夢を呼びに行ってくれ!!」
「何度もスマホ掛けたのに…あの馬鹿全然出ないんだよっ!!」
焦りながら桃は流に伝えた。
「夏樹君が熱をっ!っ分かりました!!直ぐに叩き起こしてきます!!」
流は桃からそう聞くと…慌てて走り去って行った。
「頼んだぞ…流。良し!!俺は出来ることをやるぞ!!」
桃は流の後ろ姿に向かって言うと、気合いを入れ直して台所へ向かって足早に掛けて行く。
……暇。やる気ない…熱があるせいか…お腹も好かない…
夏樹は目を細めると、天井をぼんやりと見詰める。
同じ頃、台所で氷枕を用意し…救急箱から体温計を持って来ると…
夏樹…夏樹っ!!
全力疾走で桃は廊下を走っていた。
「桃さん頑張ってますね…」
ヒョコッと廊下の角に隠れ、顔を出しながら炎斗は心配そうな表情で言う。
「大切な弟君が熱を出してしまったんです。桃先輩も心配で…弟君の事でいっぱいに頭が真っ白に成られたんですよ」
炎斗の上から、ヒョコッと顔を出して一葉が同じく心配そうな表情で頷く。
「高校時代はやんちゃで…バイクで警察と追いかけっこしていた桃が…ちゃんとお兄ちゃんしているのは…見ていてなんか…成長したって思うね」
一葉の上から、ヒョコッと顔を出して満足そうに恭介は腕を組んで頷いた。
「って言うか…未夢さんも未夢さんスよね…寝てるなんて…桃さんが電話掛けても出ないとは…けしからんスよ」
プイプイ怒って、炎斗は頬を膨らませる。
「別邸に居る人達は変わり者ばかりですからね。本邸が私達真面目人間とすれば…別邸は変人ばかりです」
一葉も苦笑いして炎斗に頷いた。
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