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「まあね…女装オネェのデザイナーに、毒舌敏腕刑事とナルシストな自称天才医者と…ヘタレ小説家…とどめにツンツン代議士…ジャンルは問わない変人揃いだからね」
恭介も二人の言葉に頷いて納得した。
「流先輩…大丈夫かな?襲われないと良いけど…」
「なんか…炎斗先輩が言ったら心配になって来ました…」
何の気なしに炎斗がポツリと言うと、一葉は青ざめる。
「僕が流の後を追い掛けていくよ。流は天然な所があって危なっかしいからね…」
よっこらせと、一葉の上から廊下に降りると…
クスッと笑って恭介は二人に言う。
「恭介先輩が自ら行かれるんすか?」
「あっ…そうですよね…流先輩は…恭介先輩の…」
炎斗はビックリして目を丸くし、一葉は思い出したように口元に手を当てた。
「流は僕の物だからね。誰にも好きにはさせたくないんだよ。桃と夏樹君は別だけど…」
黒笑みを浮かべながら、恭介は涼しい笑顔で答えた。
「「…」」
恭介の黒笑みを見た途端…炎斗と一葉は怖くて固まる。
同じ頃…
スパンッ
「夏樹様っ!!大丈夫かっ!?」
桃は汗だくになりながら、夏樹の部屋の障子を勢い良く障子を開け放つと部屋へ駆け込む。
「大丈夫ですよ…オカマさんの癖に騒々しい方ですね」
ベッドから起き上がると、夏樹は呆れた顔をする。
「俺は…こんな格好をしてるけどオカマじゃねぇよっ!!とにかく…これ!!体温計持って来たから!!」
「あと…氷枕と枕返るぞ!!熱計ったら替えの服持って来るからなっ!!」
夏樹に慌てて否定すれば、体温計をピッと付けてから夏樹に渡し…
枕と氷枕を入れ替えてから、夏樹に替えの服の事を言う。
「ふふ…桃ちゃんさんは…何故来たばかりの…所詮は男娼に過ぎない…この僕に世話を妬くんですか?」
体温計を脇の下に挟むと、夏樹は桃の反応と言葉に不思議そうな顔をして尋ねる。
「そんなの…決まってるだろう…昨日も言ったと思うけど…夏樹様を家族として迎え入れたからだ」
「家族を心配しない家族が…何処に居る?俺は…夏樹様が熱を出したから…凄く心配してるんだぞ」
桃は夏樹を真っ直ぐに見詰め、優しく微笑んで答えた。
「やっぱり貴方は…本当に変な人ですね。理解できないです」
プイッと顔を背けて夏樹は桃に言う。
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