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第2・5話魔王と羊と馬鹿狼
「はぁ…はぁ…」
時間は少し戻り、桃に言われた流は本邸を裏手から出ると…
タッタッタ…
少し離れた敷地内にある別邸へと息を切らせながら走っていた。
別邸の玄関に着くと、玄関を開けようと掴むが…
ガチャガチャッ
「っ!やっぱり開いてない…今日は未夢も病院が休みで非番の筈です…また寝てるのかも知れませんね…仕方ありません…」
玄関が開いてないことに気付き、流は困った顔をした後…右上にあるインターホンに向かって手を伸ばし…
ピンポーンッピンポーンッピンポーンッピンポーンッ
何度も流はインターホンを連打しまくる。
こたりも同じ頃…
流を追い掛け、別邸に向かって走っていた恭介は…
…インターホンの音…流かな?
恭介は流がインターホンを連打しているのに気付いた。
ガチャガチャッガタンッ
「うっせぇなっ!!今何時だと思ってんだ!?あぁんっ!?ゴラァッ!!」
朱色に近い橙色の髪で短髪、長身の青年が上半身裸で、下にジーンズ姿の格好で乱暴に玄関を開け放ち…
頭ごなしに流に怒鳴り付けた。
「今は6時半頃です。やっと起きましたね」
だが、流は怯むことなく青年を見て言う。
「流ちゃん…?どうしたの?」
流だと分かり、青年は目を丸くする。
鳴海未夢(27)。
左門字コンツェルンの本邸桃専属主治医と、左門字コンツェルンが経営する左門字総合医療センターの外科部長を兼任している。
桃の後輩で別邸に住む変人の一人。
「御疲れの所…悪いですが…夏樹君が熱を出してしまったんです…直ぐに本邸に行って夏樹君を診て上げて下さい」
未夢を真っ直ぐに見据え、流は未夢に頼んだ。
「…分かった。夏樹君が熱を出したなら急いで行かないとね…流ちゃん…あのさ…夏樹君を診た後…俺と一発やってくれない?」
流に頷いた後、未夢はもじもじしながは流に尋ねる。
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