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「え…?一発…?」
未夢に言われ、流は顔を真っ赤にさせる。
「だって…恋人の周ちゃんは…執筆取材とかで…今京都に行ってるから…俺寂しくて欲求不満なんだよね…」
サラリと未夢は流に言うとニッコリ笑みを浮かべる。
「で…でも…私にも恭介が居ますから…浮気したくありませんし…」
冷や汗を掻いて流は困り果てるが…
「一発!!一発だけだから…ね?お願いっ!!」
未夢は両手を合わせて流に頼む。
「でも…」
シュンッ
流が言い掛けた時…小さな人影が流の背後からジャンプして…
「ふざけんなっ!!」
ドカッ
「ぐはっ!!」
恭介の飛び蹴りが、未夢の顔面にめり込み未夢は仰向けに倒れた。
「恭介…」
思いがけない恭介の登場に、流はドキッとして顔を赤らめる。
スタンッ
恭介は華麗に地面に着地すると…
グイッ
「てめぇ…なに俺の流に盛ってんだ?あぁ?そんなに欲求不満なら…俺がてめぇにブチ込んでやるよ!!」
未夢の胸ぐらを掴み、凄まじい形相で怒鳴り付ける。
「ひいっ!!恭介先輩っ!?ごっごめんなさいっ!!すみませんっ!!」
恭介の凄まじさに、未夢は恐怖で顔を引き吊らせながら謝る。
「恭介…恭介、そのくらいにして上げてください。早く夏樹君を未夢に診て貰わないと…」
恭介の肩を軽く掴み、流は困った顔をして制止した。
「ちいっ!!仕方ねぇな…未夢!!夏樹君の診察終わったら俺の部屋に来いっ!!分かったなっ!?」
流に言われ、恭介は舌打ちすると胸ぐらを離して未夢に言い放つ。
「はっはいっ!!終わったら直ぐに行きますっ!!すみませんっ!!医療器具取ってきます!!」
恭介に言われ、未夢はビクビクしながら別邸に戻って行った。
「ったく…周が居ねぇと本当にどうしようもねぇな!!」
腕を組んで恭介は吐き捨てる。
フワッ
流は後ろから恭介に抱き着いた。
「っ!?流っ!?」
流の行動に恭介はビックリして目を丸くする。
「助けてくれてありがとうございます。恭介が来てくれて良かったです」
嬉しそうな笑顔で流は恭介に礼を言った。
「おっ…おう。流は天然な所が危なっかしいからな…心配して来てみたんだ。無事で良かったぜ」
クスッと笑って恭介も流に言う。
「「…」」
流と恭介は見つめ合うと…静かな朝の微風が吹く中…
唇に触れるだけの口付けをした。
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