第2話桃ちゃんと熱を出した僕

1/6

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ

第2話桃ちゃんと熱を出した僕

僕の母は、桐生財閥の社長秘書で…社長とは不倫関係にある愛人だった。 やがて…母は僕を妊娠して産んだ。 社長は責任を取り…母と僕を本邸に呼び寄せた。 けど…正妻は愛人である母と反りが合わず…いっつも対立しては口論を繰り返していた。 それでも…異母兄弟で、十歳上の桃お兄ちゃんは…僕に優しく接してくれて… 本を読んでくたり、遊んでくれたり、一緒にお風呂に入ったり…一緒に寝て… 本当の兄弟のように仲が良かった。 母とは仲が悪かったけど…正妻は僕を本当の息子のように接してくれたんだ。 正妻の方が…本当のお母さん見たいで嬉しかった。 けど…本当の母は…社長と淫乱な性欲にまみれた毎日を送り…僕にさえ目を向けず愛情をくれなかった。 そんな母が病気で他界した後、社長は豹変し…僕を施設へ送った。 突然の別れ。正妻と桃お兄ちゃんは…車に乗せられた僕を追い掛け… 広い庭を走り続けて転んでしまった。 「夏樹ーっ!!」 今でも覚えてる桃お兄ちゃんが…僕の名前呼ぶ声。 それから僕は…中学で施設で過ごした後、学費を稼ぎながら働くため… 藤紫の門を叩き…自ら闇の世界に飛び込んだ。 それから苦労して、人脈を築き頂点に立ったと言うのに… なんでいきなり…誰かも知らないオッサンに買われ…愛人にならなければいけないんだ… 金持ちなんかは…嫌い…絶対に嫌いだ… ふかふかなベッドに、夏樹はダイブすると苛立ちながら思い… いつの間にか疲れて…俯せで寝てしまうのだった。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加