岡本絵莉花の作文「友人」

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 さて、ニックネームといえば仲良し同士が呼び合う、おしゃれで素敵なものだったり、友情や愛なんてものが含まれているものだったりするのではないだろうか。  しかし私たちは出会って間もない。  ほぼ初対面の内にニックネームを作ろうなんて少々照れくさいではないか。真剣に考えるならやはり時間もかかるだろうし。  やはりニックネームを考えてもらうのは遠慮しておこう。適当に「岡ちゃん」とかで良いよと言おうと思い、口を開きかけた私を嘲笑うかのように――  私のニックネームは呆気なく決まってしまった。  私のニックネームは「おかえり」。  利佳子が「オカモトエリカだし、苗字と名前の頭取ってオカエリで良くね」と言った時にはさすがに冷たすぎないかと思った。  だから救いを求めて里村を見ると、「おもしろいよ、それ採用!」って、勝手に人のニックネームを決めやがった。    それ以来、私がトイレや購買から教室に戻る度に彼女らは「お帰り、おかえり」と言う。 もしかしたら「おかえり、お帰り」かもしれないがそこはどうだって良い。発音同じだから判別のしようもないのだ。  たまに思う時がある。こんなニックネームを付けるような、図々しい奴、冷たい奴は嫌いだ。    だから、私の理想の彼氏は、つつましくて暖かい人!
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